グリシンと睡眠の関係

グリシン (glycine) とは最も古いアミノ酸の一つでタンパク質を構成するアミノ酸の中で最も単純な形を持っています。 アミノ酸には、自分の体内で作り出せないので食事から取らなければならない必須アミノ酸と、そうでない非必須アミノ酸があります。グリシンは非必須アミノ酸の1つです。 また、アミノ酸の中では分子量が最も小さく、体のあちこちでタンパク質の構成成分となっています。
そんなたいした働きはないと思われていたグリシンですが、じつは睡眠の質を良くする作用があることが分かりました。

薬の有効性を科学的に判定するための実験で、調べたい薬と何の効果もない偽薬の効果を比べるのですが、2002年に行われたあるアミノ酸の試験で、偽薬としてグリシンが用いられました。（当時グリシンは体中のどこにでもあるありふれたアミノ酸だから、特別な働きはないだろうと思われていたからです。）
この試験の参加者に、普段から休息をうまくとれずに、日中体のだるさを感じている人がいました。
彼がその偽薬のグリシンを飲んだ翌日は体調がよく、睡眠も良くとれ体のだるさを感じないことに気づいたのです。 そうして、グリシンの睡眠改善効果に関する研究が始まりました。

グリシンは睡眠の質を高める

「寝ても疲れが取れない」「頭がスッキリしない」「熟睡感がない」など、普段から起床時に問題を感じている人を対象に行われた実験で、就寝前にグリシンが含まれた食事、もう一方はグリシンが含まれていない食事（対照食）を摂ってもらい、消灯してから深い眠りになるまでの時間を計る睡眠実験では、対照食のグループは1時間以上かかりましたが、グリシンを摂ったグループでは約半分の時間しかかかりませんでした。

また目覚めたときの疲労の程度や気分についての調査では、グリシンを摂ると、起床時の疲労感が少なく、気分が良く目覚められるという結果がでたのです。
以上のことから、睡眠に何等かの問題を感じている人はグリシンを睡眠前に摂ることで、深くグッスリ眠ることができ、朝の目覚めも爽快になることが分かりました。

また日常の睡眠に不満を感じていない人でも、何等かの理由で睡眠時間を十分に取れないときにグリシンを摂っておくと効果があります。睡眠時間を普段の75％に制限したところ、就寝前にグリシンを摂取したグループは、翌日の疲労感や眠気、パソコンを使った作業の能率が、グリシンを摂らなかったグループに比べて明らかに良かったというデータがあります。

グリシンは脳に作用して、手足の血管を広げ血液の流れを増やします。 血液は酸素や栄養とともに、熱を運んでいます。 手足の血流量が増えると、体の深い部分の熱が手足に運ばれて、深部体温が下がります。 睡眠の質が良くなるのは、脳がクールダウンしやすくなるからです。 心地よい睡眠に導いてくれる働きを持つアミノ酸としては、グリシンの他にトリプトファンやギャバなどがあります。

グリシンは睡眠効果だけにあらず

グリシンは脳に作用して、手足の血管を広げ血液の流れを増やすことは先ほど記述しましたが、血液は酸素や栄養とともに、熱を運んでいます。
手足の血流量が増えると、皮膚の角質の水分量が増えて、肌の潤いが増すのです。

皮膚にあるコラーゲンを生成しているアミノ酸のうち、3分の1はグリシンなのです。
そのため、グリシンを摂取すると皮膚のバリアー機能が高まり、敏感肌が改善する効果も確認されています。

さらに、寝ついてから初めての深い眠りのときに、成長ホルモンがたくさん分泌されます。
成人にとっても成長ホルモンはとても大切で、日中に傷ついた皮膚の細胞のメンテナンスを眠っている間にしてくれます。

以上のことからもグリシンは睡眠効果だけではなく、美肌にもより良い効果をもたらしてくれているのです。

グリシンの効果的な摂取方法とは！？

サプリメントで就寝前に摂取するのが効果的
睡眠の質を高め改善するためには、就寝前にグリシンを摂取することが必要です。
一度に食事からそれだけの量をとるには無理がありますから、サプリメントを使うのが効果的でしょう。
たくさん飲めばより効果が出るというわけではありません、決められた用法・用量を守りましょう。


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